キングコング対ゴジラキングコング対ゴジラ 昭和37年作品 ゴジラ映画の第三作。僕は第一作の「ゴジラ」と同じ昭和29年生まれ なので、リアルタイムで観たゴジラ映画はこれが最初である。第一作のゴ ジラは「オキシジェン・デストロイヤー」で殺害され、第二作で出現した 二匹目のゴジラは、氷山に閉じ込められて氷漬けにされて終わったのだが、 その氷山に国連の原潜「シーホーク号」が衝突して、閉じ込められていた ゴジラが出てくる。原潜の司令室に鈍い衝撃が走り、次々と各部のダメー ジが報告され、耐圧隔壁を破って海水が浸入してくる恐怖、甲板が炎にあ ぶられ、シーホーク号は破壊されていく。 いっぽうキングコングのほうは、どちらかというとコミカルなペースで 登場。パシフィック製薬の宣伝のために捕獲するという設定で、酒を飲ま せて太鼓叩いて眠らせてイカダで引っ張ってくるのだけど、何週間も眠っ てるわけ、ないよね。原住民の酋長に話をつけるのに進呈したラジオ、ス イッチ入れたら日本語の歌が流れてきたけど、あれもおかしい。南洋のあ んな小島まで、日本のラジオ放送が届くわきゃない。しかし、原住民の踊 りは圧巻である。すごいぐらまぁな褐色のおねーさんが、アラーにお祈り してるみたいな群舞を従えて、メリハリの利いた振り付けでぷるんと踊る のは圧巻。あーしいかなとい、あけてぇたむわぁい、あーしいかなとい、 あけてぇたむわぁい、ぱふう~ぱふぅ~、いくなぁはなどの、こなたぁ、 そなたっ・・・・・・ やがてゴジラもキングコングも日本に上陸し、一戦交える。キングコン グの負けで一回戦は終わるが、百万ボルトの高圧線に触れたキングコング は体質に変化をきたしてパワァアップする。インタビューに応える科学者 は、さりげなく人間の例をあげてその原理を説明する。オランダの郵便配 達夫が落雷に遭い、九死に一生を得て回復したとき帯電体質になっていた、 というくだり、事実であろうか? とかく当時の東宝映画には、このよう な科学的な解説がぽこぽこ出てくるのが楽しい。 キングコングはこの後、浜三枝をつかんで国会議事堂に登るのだが、こ れはオリジナルコングのエンパイヤステートビル登坂のパロディというか コピーである。浜三枝は、東北本線ではゴジラに襲われて山道をころげま わって逃げてるし、運が悪いというかどんくさいというか。助け出すため の策は、高島忠男が太鼓たたいて原住民のメロディーで眠らせるとこなん か、けっこう伏線が効いていたりする。超強靭繊維で吊るしてゴジラの居 場所に連れて行くというのも、ちゃんと伏線に登場していたし、こういう きちんとした筋立ては、観ていて納得のできるところだ。ずっと後の「ゴ ジラ対ガイガン」とか「ゴジラ対メガロ」なんかは、こういう緻密な設定 がごそっと抜け落ちてて、もうむちゃくちゃな脚本とらりぱっぱの演出に 落ちぶれていた。 一作目で東京タワー、二作目で大阪城を破壊した怪獣たちは、今回は熱 海城を破壊する。これも、ずっと後になると空き地や無人島でプロレスす るだけだから、このころのは臨場感もあってなかなかよろしい。そのあと 二匹は海に落ちて、キングコングだけ浮かび上がって去っていくけど、ミ サイルが当たっても死なないゴジラが、でかいゴリラに叩かれたところで 死ぬはずはないから、全然問題は解決していないのでは? |